茄子色のお家

Kyodo Project

Story

東京郊外にて住まわれていらっしゃる60代のご夫妻から、ご主人様の亡きお父様の相続対策として住宅を新築するご依頼でした。

お父様の遺言にてこの土地を残すことを託されましたが、
ご兄弟への分配や税金等、相続の問題は大きく、相続の解決方法として土地の半分を売却後、当時80代のお母様が住まわれる住宅を造ることが大きなミッションでした。

場所は世田谷の経堂。
閑静な住宅街の一角。
お父様が長野から移築されたと言う懐かしさの残る木造2階建ての建物と桜の大木が印象的な住まいだったことを今でも鮮明に記憶しております。

設計においての条件は、
建て替え後80代のお母様がお一人で住むこと。
桜は切ること。(最後の最後まで話し合いましたがお客様の意志が強く切ることになりました)
とてもシンプルな条件でしたが、
ご家族の想いが詰まった場所、ここからまた新しいご家族の思い出をつくる場所として、
・バリアフリーであること、
・80代のお母様にとって使いやすいシンプルなプラン構成であること、
・角地の特性を生かした街のランドマーク的な外観をつくること、
この三つをデザインのメインのコンセプトに決めました。

外部構成として重要な玄関アプローチは、西側道路からスロープを上がるアプローチと北側駐車場の階段からのアプローチに動線を分けることでより使いやすい動線を構成しました。上がりきった所に設けた屋根付きの玄関前のスペースは、雨の時でも玄関扉を開け室内へ向かうまでの一息おけるスペースを構成し、玄関廻りの快適性をUPしました。

内部構成は、
1階にLDKとリビングと一体化したお母様のベットスペースと水廻りスペース、そして納戸。2階は、三つの個室とトイレ洗面スペースとシンプルな構成。

1階のリビングと一体化したお母様のベットスペースは、南面を大きく開いた開口部から眺める庭を通して、日々の移ろいや季節の変化を楽しめる落ち着いたスペースとなっています。2階の三つの個室は、ご夫妻の寝室とご親戚の宿泊を兼ねたスペースとなります。

外観は、「角地のランドマーク」をコンセプトとし、傾斜した外壁、その外観をガルバリウム鋼板で包み、北側と南側の壁は、茄子色の塗り壁にてより引き立つランドマーク的なデザインとしました。
設計過程のお打ち合わせでは、
「どんな外観になるのか心配です。」とのコメントをいただきましたが、
実際に出来上がってみると
「街にシックリ馴染んでいますね。」との嬉しいコメントを頂きました。

そんな折、お打ち合わせを重ねる中、建て替えの為一旦施設に入所されたお母様が
「建て替え後の住宅には戻らない」ことになり当初の設計を見直すことになりました。
ただ、大きな変更はなかったものの、お母様のベットスペースの隣りに設置したトイレスペースを階段下のスペースに変更した時は正直とても悩みました。
しかしながら、トイレスペースの変更によりリビングスペースの広がりが増し、結果的には使いやすいスペースになったと思います。

お話をいただいてから2年4ヶ月ほど掛かったプロジェクトではありましたが、お客様とのお打ち合わせは常に楽しく、何よりお客様のお人柄が本当に素晴らしく、ご縁を頂けたことに心から感謝しております。

この住宅がお客様の新しい想い出の場となることを心から強く願いこれからも見守って行きたいと思います。

DATA
所在地:世田谷区・竣工:2019.04.10・家族構成:ご夫婦・主要用途:専用住宅 
敷地面積:179.17m2・延床面積:89.39m2・構造:木造・坪単価:115万円・構造設計:frameworks・施工:内田産業

実績紹介に戻る