森全体を楽しむための装置

WARABI

STORY
<対話>
中軽井沢の緑深い別荘地に建つ、週末住宅。敷地は、浅間山に向かって、急な勾配を持つ、星野リゾート内の別荘地。
ランドスケープアーキテクトである施主がもっとも望んだ事は、わらびの森(この地域の地名)の自然を、いかに感じながら、そこに暮らすかであった。
将来的なこの地への定住を視野に入れながら、ローコストで、小規模で有りながらより大きな内部空間を確保する事から、施主との小屋作りの対話(デイスカッション)が始まった。

<インスピレーション>
急勾配で浅間山に向かって、下る傾斜地の敷地を登り詰めて、振り返った時の山への眺望は、この住宅の空間的方向性の全てを決める程の、衝撃的なものであった。
敷地内の一番高い所からは、白い雪に覆われた浅間山の山頂をわらびの森の木々越しに、捉える事ができる。この壮大な景色を、日常生活の背景 に取り込む事が、もっとも重要な作業になった。
その場で二人が確認したのは、主たる外への開口部は、浅間山の山頂を指す方向のみに取り、筒状の箱を浅間山への眺望の軸線上に斜面から浮かす事で対話は進んだ。
筒状の箱はコンクリートの箱の上に斜面から大半が突き出る形地となる。

<コラボレーション>
生活の場(筒)を森の斜面に浮かす方法が次なるデイスカッションのテーマとなった。
ランドスケープアーキテクトであるH氏が、自ら斜面の勾配や盛り土/切 り土の関係を整理しながら、リビングスペースから見える浅間山の姿の最適な高さをまず決定した。
さらに友人の構造家も加わり、建物の基盤は斜面から3 メートル程張り出す型でコンクリートの梁をRCの箱の上に乗せる案に落ち着いた。
上部の筒状の箱は門型をした木造のフレームを一定の間隔で連続させ、 最少限度の金物による水平方向の補強材とした。
傾斜地での建て方の複雑さを解消する為に、金物もボルトによって順次簡単に締め込むだけのシンプルな工法となった。
くしくも、この工法を、構造家の友人が(大工さんがつくるハイブリット構造)と命名した。

<森の生活>
基本的に半分程地中に埋まった1Fスペースは、玄関と土間スペース(収納/ 物置きスペース)2F生活スペースへ上がる為の階段のみとなった。
1Fの階段室は、キッチンやクロゼットスペースを含んだコアスペースとして、2Fリビングスペースに箱が立ち上がる。
2階は米松のフレームと構造用合板が 素地のまま仕上げられ森の山小屋のイメージを残しながら、2層吹抜けの空 間ボリユ-ムに、木の安らぎを持ち込んでいる。
2Fの北側にはシャーワーとワークスペースを設け森の気配を感じる生活に視点を複数提供している。
筒の長手方向に欠き取られた、ランダムなポツ窓は、季節によって移り変わる、木々の色や動き、風の響き差し込む木漏れ日の変化を内にいながら楽しむ為の出合いの場となる。森の冬の生活を快適にするためにも、木造部分は、外断熱の高気密性能の仕様とし、さらに谷の湿度対策とし、断熱層と外壁の仕上材との間に通気層を設けた。

A weekend house in Hoshino ,karuizawa
Situated on a sloping hill in Hoshino resort, looking straight into Mt. Asama,
The rectangular timber framed structure suspended in the air on the reinforced concrete box is cantilevered out from the ground to command the magnificent view of Mt. Asama.
This simple remote house is solely designed for a designer who wanted to escape from his hectic urban daily life. The client’s request was very simple and direct. : He wanted to live in the bird’s nest on a tree in the woods and enjoy the calmness of the nature around.
His desired simple life style is also reflected in the interior finishes of this house with plywood board finish and timber structure frames all exposed, creating minimalistic den. From inside this floating simple wooden box with an open, one and half story living quarter, its main view is always directed into the mountain, the symbol of the locals.


DATA
Site:Nagano Japan
Completion:2003.12
Site Aria:624.27m2
Floor Aria:73.66m2
Structure:RC+Timber B1Floor+FirsutFloor
Construction Cost:¥580,000/T
Structure Engineer:Rhyithm Design Inc
Contractor:Takenaka Konyo Inc

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