STORY
銀座数寄屋橋交差点から程近い商業ビル4F部分の内装改修計画。
大通りを挟んで反対側には、エルメスのガラスブロックの半透明なシルエットを真近に控える銀座四丁目の一等地。

画廊としても最も重要とされる展示壁面を、その素材と形状を含めて再考した斬新な提案。
直線的な展示平面ではなく、緩やかに連続する曲線状に展示壁面を配置。
繭の様な緩やかなアール（曲面）の曲率が連続する空間の中で、商品としての絵画を壁面と一体化して展示する事を試みた。

曲面を構成する面の集合体は、巾が細かく分割された素材の繰り返しによって、自由自在に構成される事に注目し、適切なマテリアルは何かを検討した。同時に考えた事は、絵画の背景となり、展示作品の表現の世界を映し出す壁面の材質自体に、光を拡散し吸収出来るガラス素材を採用する事だった。

この数年、大型プロジェクトの外壁に採用されている溝型ガラス（プロフィリット）の均質な表面のテクスチャーをギャラリー空間の核とした。
完成したギャラリー空間は、外部と内部の光りの光源を絶妙なバランスで吸収、拡散し商品である絵に洗練された光のレイヤーを還元している。
合板やプラスターボードでは表現できない繊細な曲面も、プロフィリットの262mmの働き巾により自在に施工する事が可能となった。

絵画を展示する壁面空間には、プロフィリットのガラスの連続性だけが存在し自立させる為の構造用金物は全て表舞台よりその姿を消してしまっている。

通常ではあり得ないディテールを可能にしたのは、卓越した技術力と経験であり、
徹底した現場でのディスカッションの成果と施工プロジェクトメンバーの一瞬の閃き（インスピレーション）だった。